旅日記、各所より「つづきは?」とご指摘が・・・
失礼しました。やっとこ、後編をしたためます。
遠野ー盛岡ー青森ー弘前。加速度的に、まいります。
新花巻駅から一路、鈍行で遠野へ。
日本の民俗学の祖といわれる柳田国男の『遠野物語』により
民話の里として国内にその名を知られる、ちいさな山あいの町。
河童が馬をくすねかけて失敗し人に謝った伝説の河童淵、
美しい娘と美しい馬の悲恋譚から生まれた「オシラサマ」信仰、
昨年10月に惜しくも全焼してしまった座敷わらしの宿・・・等々。
伝承にまつわる地を、すべて詣でるには時間が足りないので、
「とおの昔話村」と「卯子酉(ねこどり)神社」のみに。(断腸)
まず、駅から近い「昔話村」で柳田翁の常宿だった建物へ。
しかし早速、迷いかける。冬の遠野は人通りもなく、観光客など
ついぞみかけない。そして、身にまとわりつくような寒さ。。。
翁の常宿は、黒光りする木造建築、歴史の凄みそのもの。
なかの博物館を見物し、柳田翁って美形、などと思いつつ。
そして、われわれの他は一組のカップルだけながらも、
あったかく元気なおばあちゃんの語る昔話にひたる。
というか、集中する。
なにせ、言っていることの1/4は、わからないのだ!軽い衝撃。
距離こそこんなに近いのに、これだけ言葉が違うんだと実感。
やや急いで卯子酉神社へ。
しかし、今度は本当に迷う。アワアワ!
すると、コンビニのまえに停まっていた車から、
金髪の若いお兄さんがおりてくる。
少々びびっていると、お兄さん、笑顔で「どこにいきたいの?」
それはそれはていねいに、神社の場所を教えてくれる。
ああ!なんて優しさ!遠野にやっぱり神様はいた!とホンワカ。
おかげさまで卯子酉神社に着く。思ったよりちいさい。
しかもなんと、民家の軒先
(しかもみんな居間でテレビ見てる!!休日だしね!)を
思いっきり横切らないと社に行けない、謎の立地・・・。
左手だけで赤い布を木の枝に縛れたら、縁が結ばれるとか。
不器用なわたしにも結べました。ご利益はいかに。
曇り空の遠野の山々には霧がたちこめ、荘厳な風景。
帰り際に遠野名物「ひっつみ汁」「ヤマメ」に舌鼓。美味!
いざ、盛岡。遠野から列車一本。
まず向かったのは「ござ九(く)」さん。
1816年(文化13年)創業の商家で、かごをはじめとした
古き良き生活雑貨をあつかうお店です。
二百年・・・想像しがたいほどの歴史。悦に入ってお買い物。
強そうなざる、山に入るときに使う竹かご、さいかちを買う。
さいかちについては、こちら!
http://eco.goo.ne.jp/life/products/slowgoods/tora29.html
そのすぐとなりの喫茶店「ふかくさ」であったまり、一路宿へ。
駅から近い安ビジネスホテル。朝食バイキングと、温泉がミソ。
翌朝、早朝に「小岩井農場」というちいさな駅へ。
岩手山を見るつもりだったのに、雲で見えない。ざんねん。
すぐ盛岡に戻り、「三ツ石神社」へ。
「岩手県の「岩手」っていう名は、昔、捕えられた鬼が
もう悪さをしませんと約束の手形を残した岩があるから、
その名がついたんだよ」と、
遠野に親戚を持つ東北っ子友達から聞いたのです。
是非見たい!ということで、実在するその岩がこれ

いまでは手のあとは残念ながら見えず。
それもそのはず、もう500年近く前の話。
しかし壮大な話でわくわくします。友よありがとう。
鬼を殺さず逃がした岩手の人が好き。↓こちら良い写真多。
http://home.s01.itscom.net/sahara/stone/s_tohoku/034_mithuishi/034.htm
盛岡では、賢治が生前出版した唯一の童話集を出した、
「光原社」へと行こうと決めていました。
昔出版社だったその光原社さん(賢治命名)は、
いまは岩手の民藝品を紹介するおしゃれなセレクトショップ。
この一角にある喫茶コーナー「可否館」はすばらしかった。涙
いつまでも目に残る岩手山にサヨナラし、一路、青森へ。
青森県美で開催中の「ラブラブショー」を観てきました。
札幌からも、伊藤隆介さんというアーティストが参加しており、
多彩なコラボが見応えありの展でした。
建物がすばらしいうえ、シャガールの生絵に衝撃、呆然と凝視。
閉塞感なし、スケール大、人に優しい。すてきな美術館。学びだ。
おつぎは弘前。
一日にどれだけ移動してるのやら、焦りつつだんだん笑えちゃう。
闇の向こうに弘前城をのぞみつつ、「THE STABLES」さんへ。
すばらしい歴史的な建物に、ひしめきあう雑貨、文房具、本、
洋服にアクセサリー。どれも審美眼にうならされます。
どのお店にも似ていないすてきな場所。
こういう場所に出会うと、心がぐんと伸びるのを感じてうれしい。
http://www.thestables.jp/
そして、旅の最後はおいしいごはんでしょう。
と向かった先は、「ゆぱんき」さん。あなぐらのようなカフェ。
かわいくて心地よい空間は、女性店主さんのたまもの。
ながなが舌鼓を打ってはくつろぎ、、、としているうち、
店主さんと語らい、札幌ご出身ということで話が弾む。
最後に、なんと、店主さんが旅粒をご存知なことが発覚!
後日、お買い上げ下さった店主さん、うれしい出会いでした。
ありがとうございます。弘前でのゆっくりタイムはここでぜひ。
http://yupanqui.exblog.jp/
駅へ向かうかえりしなに、奈良さんのわんこが闇に佇んでいるのを
偶然発見、お子のごとくよろこびはねまわる。(夜の危険人物)
あとは、ごとごとと、ゆっくり札幌へ帰りました。
二回目の車中泊で、コツをつかみました。
マスクを買っておくのが良いとか・・・。
ああ!けっきょく長くなっちゃいました!
読んでくれた皆様、ありがとう。
今度は緑薫る初夏なんかに、東北をまためぐりたいなあ。
いつでも地面が近くで移動して、東北って場所の距離を知れたし、
いまでも呼吸している多くの歴史に触れることのできた、いい旅でした。
ではでは、これにて。
文:山本曜子